米アップルコンピュータ日本法人の前刀禎明代表取締役は12日、年内にインターネットを通じた音楽配信事業を始める方針を明らかにした。デジタル音楽プレーヤーは国内でも急速に普及が進んでいるが、シェア首位の「iPod」を販売するアップルの同事業参入で、デジタル音楽市場の成長が一段と加速しそうだ。
アップルは音楽配信事業として、03年4月以降、米国や欧州で「iチューンズ・ミュージックストア」を開始。楽曲を1曲99セント(約107円)で販売し、既に延べ3億曲以上が利用者によってダウンロードされているが、日本ではレコード会社の厳格な著作権管理などが障害となり、まだ事業化できていない。
しかし、デジタル音楽市場の急成長を受け、エイベックスが音楽配信事業への参入を表明するなど、レコード会社側の姿勢は徐々に転換しつつあり、アップルも事業化が可能と判断した。今後、主要レコード会社と交渉し、販売する楽曲数や販売料金など詳しい条件を詰める方針だ。
国内のデジタル音楽プレーヤー向けの音楽配信事業は、ソニー・ミュージックエンタテインメントなど主要レコード会社が共同出資した「レーベルゲート」やマイクロソフトなどが昨年から始めている。しかし、これらの音楽配信にはiPodが対応できないため、iPodユーザーは手持ちのCDなどから音楽をパソコンに取り込み、プレーヤーに転送して聴いている。また、コピー防止機能のあるCDは取り込めないなどの不便もあり、欧米同様の配信事業を早期に始めるようアップルに要望する声が強まっていた。
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